美術教育関連ニュース 北海道

美術の先生へのメッセージ


2011年、札幌市の中学校を退職された石谷正美先生が「札幌市の中学校美術の研究集録 第18集」(A4サイズで厚さ3㎝!)に大事なメッセージを残してくださいました。ブログの掲載をお願いしたところ、快諾していただきました。地域のよって、事情は違うとは思いますが、ぜひお読みください。

「美術の伝道師に」

札幌市北白石中学校

校長  石 谷 正 美

  定年退職を迎えるに当たり、当時の札教研の諸先輩はじめ、お世話になった美術の仲間、素敵な後輩に、顔を思い浮かべながらこの紙面を拝借して感謝の気持ちと励ましの言葉をおくりたい。

私は22歳から34歳までの12年間、美術の他に国語と保健体育の授業を受け持ってきた。専門教科であるにもかかわらず美術の時数が極端に少なく、美術の時間がとても待ちどおしかったという経験がある。他教科を持たないのは、たったの3年間しかない。そのためか美術を教える時間がとにかく楽しかったし、とても充実していた様に思う。当時を振り返りながら、今、沸々とわき上がる思いは、美術という教科の素晴らしさと愛おしさである。

釧路管内と空知管内を経て30歳の時に札幌市に転入した私にとって、札幌市以外で出会った先生方から学ぶことは多かった。しかし、なんといっても札幌市では、こちらが学ぼうとする気持ちさえあれば、いくらでもそれに応えてくださる先生がいた。札幌市の人的条件は本当に恵まれていると思う。多くの先生との交流を通して、影響を受けながら自分も成長できたのではないかと思っている。

旧札教研の活動や中文連の活動の経験を通して、少しずつ美術教師としてのあるべき姿や自分なりに強く意識してきたことをまとめてみると、次の8点程になる。それは①美術教師としてのプロ意識をもつこと。②教師として生徒の力を最大限に引き出すこと。③3年間を見通したバランスのいい体系的な年間指導計画を作成すること。④常に新しい題材開発を心がけ、実際に試作品を多数作ってみること。⑤他教科の教師から「さすが美術だ」と言われるような実践をすること。⑥生徒には作品の完成度にもこだわらせ、成就感を味わわせること。⑦教師主導の注入的教え込みの授業にならないよう気を付けること。⑧自分の実践と学習指導要領とに整合性を持たせること、等々である。

また、話は変わるが、札幌市の1人配置校が約8割になっている現在、教師間の交流ができ、力量を高める一番身近な研修の機会が、札教研事業の研修の場だと思う。10月に行われた実践研究日の各地区の様子を聞くと、各地区とも工夫を凝らして頑張っている様子が伝わってきた。しかし、残念ながら1人配置校のデメリットも同時に感じられた。中学校では他教科に口出ししない傾向が強く、このことが自分は出席しなくてもよいとか面倒くさいことから逃げようとかの甘えの温床になっていることである。

札幌市では札教研事業が市の研修事業として整備されてから4年近くが経つが、校内研究を中心にしながらも美術項目の研究が保障されている。基本的には全員参加が前提の研究組織である。このことを真剣に考えなければならないだろう。また、札教研事業は中文連美術とも密接な繋がりがあり、「札幌市中学校美術・書道展」も時代の流れの中で少しずつ組織の形を変えながら歴史を刻んで今日に至っている。

昭和43年度に札教研美術部会の中に中文連対策委員会を設置し、研究成果の検証の場として本展を位置付けた歴史がある。札教研事業が研究分野を中心に交流してきたことに対し、その裏付けになる研究実践の発表・交流する場として、表裏一体の活動として位置づけることができ、有機的な構造となっており、札幌市美術教育の誇れる一つでもある。

このように札幌市の美術は素晴らしい素地がある。皆さんには、札教研事業には声を掛け合い集って、「美術大好き」と言わせる生徒をつくることと、一人一人が美術の素晴らしさを伝える伝道師になってほしいと願っている。

(取材 山崎 正明)

« »

研究・研修会 滋賀県

2024.10 (滋賀)全国造形教育研究大会滋賀大会

2024年10月24日25日「全国造形教育研究大会滋賀大会」が開催されます。 関連

続きを見る

研究・研修会 全国 東京都

2024年2月23日 全国造形教育研究大会(東京臨時大会)開催

2024年2月23日 全国造形教育研究大会(東京臨時大会)開催 開催に向けて 「ポスト・コロナの教育研究の在り方について検討が求められるこの時期、全国造形教育連盟は、これまで大切にされてきた教育研究活動の意義や価値を再確…

続きを見る

研究・研修会 全国 東京都

2023年6月11日 東京で「美術による学び研究会」

◆日時 令和5(2023)年6月11日(日) 【第1部・第2部】午後12時30分〜17時(12時より受付) 【第3部/懇親会】午後17時30分〜19時30分 ◆場所 国立オリンピック記念青少年総合センター センター棟4階…

続きを見る

研究・研修会

2月19日  全美協 造形教育フォーラム ZOOM  

全美協(全国大学造形美術教育教員養成協議会)では、毎年「造形美術教育フォーラム」を開催しています。今年は乳幼児期に焦点を当てて、そもそもこどもの表現とは何かについて、確かめ、今後の教育・保育についてのあり方を考えていく機…

続きを見る

研究・研修会 全国 東京都

2023 年1月29日 ZOOMで講演会「水中のロマン」

東京大学教育学部附属中等教育学校の芸術祭実行委員会が主催します「水中のロマン〜水中考古学で紐解く歴史の謎〜」を2023年1月29日(日)に、本校会場とオンラインで開催する運びとなりました。(無料で全国からご参加いただけま…

続きを見る

美術館との連携 作品展 北海道

2023年1月 安田侃彫刻美術館アルテピアッツァ美唄で 中学3年生の作品展

2022年12月29日〜2023年1月16日まで「安田侃彫刻美術館アルテピアッツァ美唄」で美唄市立美唄中学校 中学3年生の「ココロのかたち」が開催されます。美術科担当は乙丸聡史教諭。 関連

続きを見る

作品展 北海道

2023年1月 札幌市中学校美術部展

○参加校(12校)  札幌市立柏中学校  札幌市立啓明中学校  札幌市立向陵中学校  札幌市立陵北中学校  札幌市立八軒東中学校  札幌市立宮の丘中学校  札幌市立手稲中学校  札幌市立前田中学校  札幌市立前田北中学校…

続きを見る

研究・研修会 作品展 神奈川県

2023年1月 神奈川県で「美術の学び展」開催

関連

続きを見る

研究・研修会 全国

日本美術教育連合主催「造形・美術教育力養成講座」

本年度の公益社団法人 日本美術教育連合主催、『造形・美術教育力養成講座」は12/24日を皮切りに全3回開催されます。 第1回目は、芸術活動が人や社会に変化をもたらすプロセスや仕組みの研究やアートマネジメントの研究で有名な…

続きを見る

研究・研修会 北海道

2023年1月 授業力向上セミナー

北海道教育大学附属釧路義務教育学校 図工・美術 授業力向上セミナー 1,研究主題「深い学び」を具現する授業デザイン ~子供たちが互いに影響を発揮し合う『学び合い』の展開~ 2,公開授業題材    前期課程 小学3年「吹き…

続きを見る

研究・研修会 東京都

10月22日「育ちのための表現について考える」

関連

続きを見る

全国

中高生・高専生のための「モビリティデザインに挑戦!(旧カーデザインに挑戦)

今年も中高生・高専生のための「モビリティデザインコンテスト」が開催されます。 https://www.jsae.net/car_design/R_data/ 関連

続きを見る

作品展 北海道

2022年11月5日〜20日 江別市中学校・高校合同美術部展

関連

続きを見る

美術館との連携 作品展 新潟県

2022年10月8日9日 長岡市中学校美術部展 

関連

続きを見る

研究・研修会 北海道

10月9日10日 美術による学び研究会 北海道大会 

申し込みや感染症対策については、「美術による学び研究会」をご参照ください。   関連

続きを見る

美術教育関連ニュース 北海道

10月15日 全道造形教育研究大会 帯広・十勝大会

関連

続きを見る

作品展 埼玉県

2022年9月 埼玉で「はみ出す力展」 Vol.4

2022年9月11日〜18日 埼玉県うらわ美術館で「はみ出す力展」 Vol.4 関連

続きを見る

全国 美術教育関連ニュース

5月23日〜29日 Arts Education Week

InSEA  5月23日から29日 UNESCOのArts Education Week(国際芸術週間) 関連

続きを見る

facebook

twitter