「中学校美術Q&Ain金沢」発表の様子
2013年5月13日
「中学校美術Q&Ain金沢」のレポート
中学校美術Q&Ain金沢の様子を、中学校美術ネット運営メンバーの加藤がレポートさせて頂きます。
<基調提案>山崎 正明
北海道千歳市立北斗中学校教諭/中学校美術ネット代表
学習指導要領改訂の度に減らされてきた美術の授業時間。
これまでに山崎先生が美術教育の価値を訴える取り組みから感じられたことは、「意思表示をするから相手に伝わる」「つながりが力になる」ということ。
そして充実した美術の授業時間を残して行くためには、次回学習指導要領改訂について話し合われる時期を予測した2014年までに、一般の方にも「美術の授業も大切」と思っていただくことが大切!そのためにはまずは授業の質(Quality)を高め、そして美術教育の価値を訴える行動(Action)を起こそうという基調提案で、中学校美術Q&Ain金沢が開催しました!
<実践発表>滝田知佳
福井県敦賀市立気比中学校
保育園・小学校を経て中学校の美術教諭を担当された滝田先生。
最初は「指導できる先生」になることを目指していましたが、「先生これでいいですか?」と質問されてしまうことに疑問を感じ、×を減らすことから○を増やすことを目指して授業作りを変えられて行きました。
さらにそこで生み出された作品を展示して行くことから、友達と、先輩後輩と、担任の先生と、地域の関わりが生まれていくこと、そしてその生徒自信が学校生活に生き生きと関わって行く様子を発表頂きました!
「こころの豊かな人」になってほしいという滝田先生の想いが見事に伝わる発表を頂きました。
<実践発表>岡部俊彦
富山県砺波市立庄川中学校
「自己を表現する生徒の育成を目指して」というテーマで、イメージワーク、スケッチワーク、鑑賞ワークを通した自己肯定感を育む授業についてご紹介頂きました。
身体的・体験的なイメージワークを導入として、少しずつそこから関心を自己へ広げて行き、そしてそれをスケッチワーク、鑑賞ワークの取り組みから表現を共有していく授業の組み立てから、表現したい・伝えたいという生徒の想いを高まっていく様子について発表頂きました。
生徒が伝えたいと強く想ったときの色や形の工夫が大変魅力的でした!
<実践発表>畠山雅弘
富山県小矢部市立大谷中学校
意欲はあるが発想や構想に苦労してしまうという生徒観から、発想や構想を練り上げていくためのスモールステップから取り組む授業実践をご紹介頂きました。
思考力・判断力・表現力を育む言語活動に着目して、グループで発想構想をするということから、「より良い意見を積極的に受け入れる姿勢・より良い意見を選び取る思考力・判断力」さらにはそれらから「自分の考えを広げる」ということへの実践から、生徒一人一人の中にどのような影響と関わりが生まれ、発想構想が広がっていったかということについて発表頂きました!
作品から読み取った生徒の活動を報告して頂き、生徒同士の影響力の強さも感じた発表でした。
<実践発表>梶岡創
滋賀県大津市瀬田北中学校教諭
授業づくりの構造について「骨と肉」そして、表現・鑑賞活動について「デジタル思考・アナログ思考」というキーワードを切り口にご紹介頂きました。
楽しさと堅実さは対立するのか、抽象と具象を対立するのか。
これらのキーワードを参考に見直して見ると、授業が唐突な流れになっていないか。あるいは削るべき要素があるのではないかと気づかせて頂ける発表でした!
詳しくはぜひ梶岡先生のブログ「Be-side美術教育雑感」をご覧下さい→http://kazyhazy.seesaa.net/
<講演>上野行一
帝京科学大学こども学部教授/美術による学び研究会代表
学生が抱く美術教育のイメージから美術教育の危機についての考察をご紹介頂き、学習指導要領の考え方・捉え方を分かりやすく示して頂いた上で「美術科授業改善のポイント」としての
○表現と鑑賞を統合した授業
○他教科や地域、生活とつながる授業
○21世紀型学力を育成する授業
の3つを視点から授業実践をご紹介して頂きました。
それぞれの実践がどのような能力に結びついていくのか、またそれらがこれからの社会でどのように活かされて行くのかを整理して解説して頂き、これからの美術教育に期待感を抱くことのできるお話を頂きました!
<実践発表>チームふくい
「美術教育の価値は何か!?」という問いに答えるという実践を発表頂きました。
別司佑輔
福井県越前市武生第三中学校教諭
「美術を語れる学校に」をテーマに生徒作品の展示を通した生徒理解に関する実践発表を頂きました。
作品を前に語る時間を、「場所、期間、生徒からの理解」をクリアしながら創りだしていく暖かい実践をご紹介して頂きました。
後藤亜好
福井県坂井市立丸岡中学校教諭
「美術は何故するの?」という生徒から疑問を受けたことをきっかけに初められたアートプロジェクトの実践発表を頂きました。
生徒会活動・学校行事・総合的な学習の時間と絡めたアートプロジェクトで「学校、地域から応援される美術」となる活動的な実践をご紹介頂きました。
牧井正人
福井県観光営業部文化振興課
学校現場を離れた視点から、美術教諭の雇用状況の問題と、
「美術は何故必要なのか」という問いに対して、「文化」という切り口からの美術教育の重要性についてお話し頂きました。
<実践発表>西澤明
石川県金沢大学附属中学校
はじめての授業実践で取り組んだ頭像作品。
作品返却をしたの日の下校時に作品が近所に捨てられてしまっていたということから始まった、授業改善・授業作りの視点について発表頂きました。
ねらいの前に「ねがい」をもつこと。そして
○現状の把握○問題点の明確化○「で、どうする?」
の3つのキーワードと、学習指導要領を踏まえた、授業実践をご紹介頂きました。
よりよい授業改善のためのQualityに関わるポイントを、無理のないように捉えた解説をいただき、どの学校のどの授業においても参考にしたい発表でした!
<実践発表>木村早苗
愛媛県松山市立高浜小学校
小学校からの実践として、子どもによりそった絵の見方についてのお話を頂きました。
子ども自身の生活・関心から見た絵からは、その絵で行われている工夫についてはもちろん、彼・彼女たちの関心ごとがよく分かることに気づかせて頂きました。
また教師の一言一言に子どたちはとても影響を受けやすいことから、絵の変遷を通してその子どもと自分の関わり方を注意深く見直しているお話が大変印象的でした!
<実践発表>松岡宏明
兵庫県関西国際大学准教授
小学校教諭志望の学生に向けた授業実践として、必ずしも作品化を目的としない色や形と格闘することそのものを大切にする造形遊びについての発表を頂きました。
授業の「ねらい、そざい、ぎほう」の3つ要素に注目した場合、それは必ず「ねらい」からはじめなければならないということではなく、「そざい」、または「ぎほう」から始まる実践を紹介して頂いたのですが、一つ一つの活動の展開がとっても面白く、いつのまにか「ねらい」も通り過ぎて行くような授業実践を紹介して頂きました!
また「画一化でも放任でもなく、安心と没頭を保証する」というキーワードも、大変心に残りました。
「中学校美術Q&Ain金沢」のレポート
レポーター:加藤浩司
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