研究・研修会 三重県 中学校美術Q&A

「中学校美術Q&Ain三重」発表の様子

 

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2013年12月22・23日に行われた中学校美術Q&Ain三重では、二日間で102名の方にお集りいただき、多くの学びを共有できた会となりました。

※以下、中学校美術Q&Ain三重の様子を、中学校美術ネット運営メンバーの加藤がレポートさせて頂きます。


 

01

<基調提案>山崎 正明
北海道千歳市立北斗中学校教諭/中学校美術ネット代表

 

学習指導要領改訂の度に減らされてきた美術の授業時間。
これまでに山崎先生が美術教育の価値を訴える取り組みから感じられたことは、「意思表示をするから相手に伝わる」「つながりが力になる」ということ。
そして充実した美術の授業時間を残して行くためには、次回学習指導要領改訂について話し合われる時期を予測した2014年までに、一般の方にも「美術の授業も大切」と思っていただくことが大切!
そのためにはまずは授業の質(Quality)を高めること、そしてそれから美術教育の価値を訴える行動(Action)を起こそうという基調提案で、中学校美術Q&Ain三重が開催しました!

 

 


02

<実践発表1>加藤 浩司
三重大学大学院教育学研究科院生/中学校美術ネット運営

 

「中学校美術ネット」ってなに?どうやってできたの?ということについて、私(加藤浩司)自身のこれまでの活動と教育観の変容のあゆみの視点から、ご紹介させて頂きました。
また統計局のデータから、教科別にみると美術科教員の平均年齢が一番高いこと、美術科の35歳以下教員の割合は美術科教員全体の10%程になってしまっている現状や、三重県内においては美術教諭の大量退職と採用数の調整によって講師教員が増加している状況(おそらく10年後にピークを迎え、三重の美術科の講師割合は現在33%ですが、40%にまで増えると予測します)をご紹介させて頂き、美術の授業の質を保証して行くためにも、これまで以上に教科の繋がりを大切にして「①美術科教員の配置状況の把握、②複数の研究会組織への参加、③教科研究優先度の向上」を目指して行く必要があることを提案させて頂きました。

 

 


03

<実践発表2>稲向 杏弥
三重県伊勢市立小俣中学校教諭

 

「つながりの中でうまれるもの」というタイトルで、県外を飛び出して集った研究会の教員同士のつながりの中で「授業のために“良い教材探し”をしていたが、わたしにとっての“良い教材探し”であった」と反省され、そしてその後生徒の現状から授業を考えた、チームで作る『滑り台のデザイン』という授業の実践発表を頂きました。

チームの活動の中で起こった実際の生徒達同士のやりとり、そして生徒と先生とのやりとりをご紹介頂きました。
制作に向けては、チーム内のメンバーに提案したり、意見を受け入れたりしながら共同していく関係が生まれ、その中で工夫を共有したり発展が生まれて行った授業を発表頂きました。

生徒の中での題材と題材のつながりや、ひとつひとつの授業からの生徒の気づきを『Good Card』という他者の工夫点を見つけるワークシートや『授業の軌跡』という振り返りシートを使って、丁寧に生徒の学習状況確認し授業改善していく姿勢に大変感銘を受けました。

 


04

<実践発表3>垣内 宏志
奈良県教育委員会事務局学校教育課義務教育係

 

「美術なんて勉強して何の役に立つの?」と聞かれた際には、「心豊かな生活を送るため。全部の教科がそうだよ。」と答えるようにしているという垣内先生からは、その中で美術科の役割としての“形や色などによるコミュニケーションを通して、生活や社会と豊かに関わる態度を育む。”ことを視点にして、

美術を通して・・・①子どもと子ども、②子どもと大人、③子どもと地域社会

を繋ぐことを試みた授業実践や部活動の取り組みをご紹介頂きました。
授業実践においては、友達の言葉をきっかけに連想していく絵しりとりアニメーションや、冬休みのできごとを4コマ漫画に表すなど、生徒達が普段身近に接している表現を取り入れながら、生徒たちが自分たち自身の生活を表現したり、またそれらを動画や冊子にして授業外の人たち(先生や保護者)にも生徒達の作品が自然と鑑賞される実践のご紹介頂きました。

 


05

<実践発表4>八島 充
三重県東員町立東員第一中学校教諭

 

東員第一中学校での研修テーマとして取り組んでいる『つなぐ』。
そのテーマを年度ごとに職員全員で見直し、具体的な姿として共通認識をすり合わせていった『考える・伝える・聴く・話す』の場面を大切にした主に「コミュニケーション」に関わる授業実践の発表をご紹介頂きました。
ペア活動、班活動、さらには学級全体で“学校CM”といったひとつの作品を創り上げる共同制作活動、そしてお互いの作品を鑑賞する授業実践をご報告頂き、友達とのやりとりを通して、その良さを見つけたり、自分の考えと比べながら発想構想を広げて行くなど、自分一人だけではなく、友達と一緒だからこそ豊かに広げて行くことができる授業をご報告頂きました。

 

 


06

<講演1>森田 ゆかり
金城大学短期大学部幼児教育学科准教授

 

森田先生が勤める幼児教育学科の学生の約60%は、入学時「美術は苦手」と感じており、高校で「美術」を選択していた学生は25%。

その現状を受けとめたうえで、第一に「美術は楽しい、面白い」「美術が好き」と実感できる。第二に、単なる技能教科ではなく「人間を育てる」重要な教科であることが実感できる授業。をねらいとした実践をテーマに、授業を通して学生達自身の価値観が広がって行く様子や、そして幼児にとっての描くこと作ることの価値に気づいて行く様子をご発表頂きました。

幼児にとっての作品には、たくさんの想いが語られていることと、描く。そして作る。という行為自体にも大きな発見や感動が詰まっていることを知ることができました。

 


07

<講演2>
東良 雅人
文部科学省初等中等教育局教育課程課教科調査官

岡田 京子
文部科学省初等中等教育局教育課程課教科調査官

 

「図画工作科、美術科で育てたい力〜子どもの学びと小学校と中学校のつながり〜」というテーマで、二つのプロジェクターを使いながら、中学校の視点からは東良先生から、小学校の視点からは岡田先生からと、学習指導要領で示す育てたい力を観点ごとに交互にご講演頂きました。

それぞれの授業での題材のねらいを抑えた上で、子どもたちの制作途中の行為や、作品、子どもたちの言葉を見せて頂きながらご紹介を頂き、小学校と中学校、それぞれ子どもたちが学んで行く具体的な姿を捉えることができた大変充実した講演になりました。

特に普段あまり拝見する機会の少ない小学校での図工での子どもたちの活動からは、講演の冒頭でもあったように「全ての子どもたちは豊かな存在である。」ということが、大変よく実感することができました。

 


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<実践発表5>
堤 祥晃
滋賀県大津市立志賀中学校教諭

 

「学びの共同体に焦点をあてた授業づくり」(Qualityに関わる取り組み)と
「1クラス分全員の作品を持ち寄った実践交流会」(Actionに関わる取り組み)の取り組みについて発表頂きました。

「学びの共同体に焦点をあてた授業づくり」については、聞き合う関係を大切に①四人グループで活動。②学級全体で共有する。という活動を織り交ぜつた学び合う形式を通して、教科の本質に即した学びへと迫ることを試みた実践を発表頂き、混色や色遊びなどの表現を試行錯誤していきながら制作していったり、鑑賞していったりとクラス全員が活動に参加しながら学びを深めて行く様子をご紹介頂きました。

 

「1クラス分全員の作品を持ち寄った実践交流会」(Actionに関わる取り組み)については、交流会参加者全員が発表し合う、苦手な生徒の作品にも着目する、指導助言的立場の人は敢えて招かずみんなでアイデアを出し合う、という参加者全員が語り合うことでそれぞれが授業実践の改善を深めていく交流会を企画実践した報告を頂きました。

 

 


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<実践発表6>林 徳和
岐阜県岐阜市立境川中学校教諭

 

生徒の心に響く「できた•わかった」という学びを大切にした、岐阜県中学校美術研究テーマ「心を描く色•形」についての実践発表を頂きました。

小学校での育ちを受けながら中学校三年間を、

一年生では視ることを中心に基礎的な能力を定着させる題材、二年生では工夫することを中心に発想、構想の能力を高める題材、三年生では自分らしさを追求する総合的な題材、

と系統的に発展させ、〈生涯美術〉につなぐ題材設定について紹介頂き、生徒一人ひとりが授業を通して表現の工夫や作者の想いについて気づいて言葉からその成果を発表頂きました。

 


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<実践発表7>梶岡 創
滋賀県大津市瀬田北中学校教諭/中学校美術ネット運営

 

「滋賀県で取り組んできた研修会づくり」と「“題材教材素材”をキーワードにしたフレームワーク」についてご紹介頂きました。

「滋賀県で取り組んできた研修会づくり」では、
①印刷物のデザイン(関心を持ってもらえるデザインの工夫)
②研修スタイルのコーディネート(研修テーマに応じた研修スタイルを変えるetc模造紙大に拡大した指導案を囲んでのワークショップ)
③常に外から新しい風を(県外から活躍先生を講演にお招き)
④痛いテーマでじっくり研究(テーマをきれいで整った言葉でごまかさない。テーマを毎年変えたりしない。)
という4つの工夫と取り組みに着いてご紹介頂きました。

また「“題材教材素材”をキーワードにしたフレームワーク」では、自分の視点では見えにくい部分を見つけるための授業改善のための観点のポイントをご紹介頂き、題材・教材・素材を混在させずに3つの要素のうち何を固定し、何を生徒に広げさせていくのか、授業のねらいについて振り返ることができる視点を発表頂きました。

 

 


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<講演3>有賀 三夏
東北芸術工科大学研究員/講師

 

中学校で講師をしていた際に、絵を描くことを通して生徒がひとつの関心から多岐にわたる知識を広げて行く様子を目の当たりにしつつも、教育の中で「芸術はなぜ必要なのか?」と問われた際に、その理由を上手く伝えることができなかったことをきっかけに渡米をし、その理由を分かり易く説明できる理論を模索していった有賀先生ご自身のあゆみについてと、その中で出逢った心理学と芸術学を合わせた「アートセラピー」そして「多重知能理論」についてのお話を頂きました。

芸術は人生の様々な要素を充実させたり、要素をつなげて創造する働きについておはなしをいただき美術教育の意義を再確認し、またその意義の多様な広がりを感じることができる発表を頂きました!

 


 

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