研究・研修会 宮城県 中学校美術Q&A

「中学校美術Q&Ain宮城」発表の様子

 

 

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2014年6月20・21日に行われた中学校美術Q&Ain宮城では、二日間で130名の方にお集りいただき、多くの学びを共有できた会となりました。
※以下、中学校美術Q&Ain宮城の様子を、中学校美術ネット運営メンバーの加藤がレポートさせて頂きます。


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<基調提案>山崎 正明
北海道千歳市立北斗中学校教諭/中学校美術ネット代表

学習指導要領改訂の度に減らされてきた美術の授業時間。
これまでに山崎先生が美術教育の価値を訴える取り組みから感じられたことは、「意思表示をするから相手に伝わる」「つながりが力になる」ということ。
そして充実した美術の授業時間を残して行くためには、次回学習指導要領改訂について話し合われる時期を予測した2014年までに、一般の方にも「美術の授業も大切」と思っていただくことが大切!
そのためにはまずは授業の質(Quality)を高めること、そしてそれから美術教育の価値を訴える行動(Action)を起こそうという基調提案で、中学校美術Q&Ain宮城が開催しました!

参加者のみなさんのアンケートから

  • 美術教育の大切さを強く発信していかなければならないと感じさせられました。
  • 「やらねば!」という気持ちになります。
  • 伝え方の大切さ。周囲の人から声が出る様に働きかけていきたいです。

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<実践発表1>竹内利枝
宮城県仙台市立蒲町中学校

私たちとは異なる独自の社会・文化・時代を築いて行く目の前の子どもたち。
その未来を生きて行く子どもたちにとってのよりよい学びを考えた「21世紀型スキル」についてのご紹介と、その力を育むこと目指した「みんなでつながるリレーアニメーション」の
授業実践をご発表頂きました。

「21世紀型スキル」の向上には、美術教育とも直接的に関わることが多くあったり、芸術教育が「イノベーションを生み出す力」を育てることに期待されている側面があることから、美術教育のねらいをより明確に示して行くヒントがあることを感じることができました。

参加者のみなさんのアンケートから

  • 21世紀型スキル×美術教育・・・新しい視点で考えるきっかけになりました。アニメーション制作の実践では、子どもたちが「他者とつながる喜び」「他者に感動を与えられることで得られる喜び」を体感していた様子が印象的でした。
  • アニメーションを用いるのはとても面白いと思いました。
  • 表現と鑑賞がうまく融合した活動にしたいと感じています。

miyazaki

<実践発表2>宮﨑敏明
宮城県東松島市立宮戸小学校

「夢や希望をもち、震災を乗り越えて生きようとする児童の育成」というテーマで、
震災の大きな被害を受けた宮戸島の、10年後に思いをめぐらせる造形活動や、思いを醸成する親子創作活動などについての授業実践を発表頂きました。

「宮戸復興プロジェクトC(チルドレン)」という名前で取り組んだ実践では、
①明日の宮戸に向けて、夢をもってのびのびと表現する。
②子ども一人ひとりの希望につながる想いを大切にする。
③家族、地域の人に自分の夢と希望が伝わるものにする。
の3つを指導の方針として制作活動を行い、発表ではそれらの作品を実際に見ながら子どもたちがひとつひとつの制作に自分なりの主題を見つけ出していった様子をご紹介頂きました。

参加者のみなさんのアンケートから

  • 心のケアと図工の取り組み。児童が少しずつ元気になっていた様子はすばらしいです。
  • 子どもたちの生きる力や希望を育てる実践だと思う。癒しとしてではなく、これからを生きるための力を育んでいるところが印象的だった。
  • 学校に関わる人たち全員が一つのことに向かって行くパワーをすごく感じましたし、折り合いをつけながら葛藤しながらも進んで行く子どもたちに胸が打たれました。

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<実践発表3>山内宏泰
リアス・アーク美術館学芸係長・学芸員

「美術館は社会に対してどのような関わり方ができるのか」というテーマで、リアス・アーク美術館学芸員の山内さんのこれまでの取り組みをご紹介頂きました。
「美術ってなに?美術館ってなに?」というような地域住民の素朴な質問に対し、その都度相手に納得してもらえるまで話をしたり、美術館の展示を見直して行く中で、気仙沼市の地元住民が誇りに思っている“食”の文化を中心に据えた企画・事業を起こしてきたお話と、震災を通して問い直してきた美術の力についてをお話し頂きました。
アートの力には、「過ぎ去った時間を再現する力、忘れてはならない感覚を伝える力、そして人々の普通の暮らしに不可欠な美意識を顕在化する力があるのではないか」というお話からは、美術が社会の中で果たすひとつの大きな役割を感じました。

参加者のみなさんのアンケートから

  • 「何も無い」ではなく「何も知らない」。多岐にわたる中身の濃い発表だったと思います
  • アートには第三者を当事者に変える力がある。山内さんの行動力と、漠然とした想いを実現する力。とても共感しました。
  • 美術館の在り方、地域のためになることを実践されていて、素晴らしかったです。

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<実践発表4>鈴木雅之
宮城県仙台二華中学校・高等学校

「言葉と美術」というテーマで、対話による鑑賞と掲示教育を中心とした鑑賞指導の実践についてご発表頂きました。

著名な絵画作品、高校生の生徒作品、宮城県美術館の所蔵作品などを織り交ぜた対話型鑑賞の取り組み。校舎内に掲示された全ての作品にはコメントを添えることができるカードも設置した取り組みから、生徒一人一人との双方向の鑑賞環境が生まれたこと。またそこから制作時の机間指導の会話も充実し、制作の表現力も向上していった様子をご紹介頂きました。

また鈴木先生は今回の研究会の会場校に勤務する先生でもあり、実際に学校内にたくさん展示されている生徒作品と相互交流が行われているコメントカードを拝見させて頂くことができました。

参加者のみなさんのアンケートから

  • 校内の作品展示の数。メッセージカードをつけること。とても参考になりました。
  • 発信していく、見てもらうことで、生徒の意欲も増え、また作品ができ、発表の場ができる流れが素晴らしいと思いました。
  • 生徒がメッセージをいろいろ発信できるのが良いと思った。

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<講演1>上野行一
帝京科学大学こども学部児童教育学科教授
美術による学び研究会会長

「美術は教えられるのか」というテーマでお話を頂き、
<強制>することでも、<放任>することでも無い、美術の授業改善のためのヒントとして、
○授業は学びのプロセスである。
○学びのねらいを明確にする。
○学びはコレクティヴラーニング。
という3つのキーワードを中心にして講演を頂きました。

これからの社会では、工業社会型(「ものづくり」重視型)教育から知識創出型(「ことづくり」重視型)が求められるというお話からは、美術が子どもたちに育むべき学びについて整理して捉えることができました。

参加者のみなさんのアンケートから

  • 放任と強制から始まり、日本教育だけでなく世界が抱える教育問題にまで視野を広げて考えることができた。
  • 目から鱗のことも理論的バックアップもいただけて、感謝しています。
  • 社会や生活、そして未来と結びつく「美術」の授業づくりをしていきたいと思いました。

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<講演2>
東良 雅人
文部科学省初等中等教育局教育課程課教科調査官
岡田 京子
文部科学省初等中等教育局教育課程課教科調査官

「図画工作科、美術科で育てたい力〜子どもの学びと小学校と中学校のつながり〜」というテーマで、二つのプロジェクターとスクリーンを使いながら、中学校の視点からは東良先生から、小学校の視点からは岡田先生からと、学習指導要領で示す育てたい力を観点ごとに交互にご講演頂きました。
それぞれの授業での題材のねらいを抑えた上で、子どもたちの制作途中の行為や、作品、子どもたちの言葉を見せて頂きながらご紹介を頂き、小学校と中学校、それぞれ子どもたちが学んで行く具体的な姿を捉えることができた大変充実した講演になりました。
特に普段あまり拝見する機会の少ない小学校での図工での子どもたちの活動からは、講演の冒頭でもあったように「全ての子どもたちは豊かな存在である。」ということを大変実感することができました。

参加者のみなさんのアンケートから

  • 指導要領を何度も読んでいますが、更に理解を深めることができました。
  • 美術の目標、内容の構成を再確認することができました。
  • 小学校と中学校の両視点からの講演で発達段階を考えるところから聞けたので、とても分かり易いです。小学生ってこんなに純粋に何かをつくることを楽しめるんだなと思いました。

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<実践発表5>相馬亮
尚絅学院大学講師

「美術も大事!」と、言えるこどもたちを増やすことを目指して、学校現場から大学教員になられた相馬先生からは、大学生へ向けたアクションの実践を発表頂きました。
発表の中では、将来保育士や幼稚園教諭を目指す大学生が受講する授業で行っている「美術の学びと美術を通しての学び」についてのお話をご紹介頂きました。部活動での学びと比較してお話し頂いた美術の学びはとても分かり易く、「美術を通しての学び」が大人になってからも大切なものとして残ることをふまえつつも、「美術を通しての学び」は「美術の学び」の両方とローテーションしながら深められていくという側面も持つことを改めて見直すことができました。

参加者のみなさんのアンケートから

  • Learinig of ArtとLearning through Art 両方が相互的に作用しているということが分かりました。
  • バスケットにたとえることがとても分かり易かったです。
  • 美術も大事という考え方は、他教科の先生との関わりや教育の中での美術を考えた時に大事だと思いました。

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<実践発表6>池野吉洋
山形県山形市立第七中学校

「時間が足りない。発表の場が足りない。評価者が足りない。」という美術科が抱える問題を“美術科だけでやらない。中学校だけでやらない。”というアプローチによって乗り越える、道徳の授業や学年・学校活動と連携した実践についてご紹介頂きました。

制作に向けての内省的な活動部分を美術の授業だけで行うのではなく、道徳の授業時間などと連携しながら進めるという実践の紹介からは、教育活動全体を俯瞰した視点で教科を捉え直すかことで気づけるものがあることを感じました。また紹介頂いた動画やアニメーションの授業実践からは、題材が子どもと乖離しないような話題性や現代性のある表現方法を見つけて行くことの大切さを感じることができました。

参加者のみなさんのアンケートから

  • 現代性を意識した授業づくり、小学校でもできそうと思っていたので、とても参考になりました。
  • 校外との協力が不可欠であると感じました。美術って面白い!とか、美術って必要!とかそういう声が不思議と聞こえてくるようでした。
  • 多様でユニークな取り組みに心惹かれました。

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<実践発表7>高安弘大
青森県平内町立小湊中学校

美術館と学校とで連携して取り組んだ「学校を美術館にするプロジェクト」の実践を発表して頂きました。
美術館のシステムと学校の授業カリキュラムを密な情報交換によってすり合わせながら一連の活動が計画されたことで、美術館の出前授業による鑑賞活動や、学校の授業でのポスター制作などが交互に行われながらも、ひとつひとつの活動が次の活動へと発展していくこと。
そして学校外の人との関わりを持ちながらプロジェクトが進むことで、この取り組みのねらいでもあった「子どもたちにとって、いま学んでいることが社会と繋がっていることが実感できる」ということに対して本当に深い見通しを持ったプロジェクトになっていることを強く感じました。

参加者のみなさんのアンケートから

  • 地域社会を巻き込んでの実践発表ありがとうございました。生徒も先生も笑顔でした。そこが良かったです。
  • 民間と美術館とのつながりの大切さ、魅力を感じ、自ら掘り下げて活動の場を見出して行く動きをせねばと強く思いました。
  • 現実味をもって学ぶことが応用力になり、次への生きる力になるんだと思います。

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<講演3>有賀 三夏
東北芸術工科大学研究員/講師

教育の中で「芸術はなぜ必要なのか?」と問われた際に、その理由を上手く伝えることができなかったことをきっかけに渡米をし、その理由を説明できる理論を模索していった有賀先生ご自身のあゆみについてと、そこで出逢った「多重知能理論」。そしてそれをヒントに生み出した「芸術思考」についてのお話を頂きました。

また講演の途中には、東北芸術工科大学の学生チームから、これまでに研究してきた「芸術思考」についての発表もあり、芸術思考の「楽しかったり、美しかったりするイメージを可視化するプロセス」の事例についてとても分かり易く紹介を頂きました。

参加者のみなさんのアンケートから

  • 学生さんとすばらしい取り組みをされていると思いました!みなさんプレゼンに自信が感じられてよかったです。
  • 多重知能理論など初めて聞いてためになりました。プレゼンの仕方もとてもよかったです。
  • 芸術思考論によって、救われる人間がたくさんいると思います。

 

 

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