画家を招いて「スケッチ大会」
2012年6月2日
大分の永松 芳恵さんからの報告です。
5月11日(金)に1日使って全校スケッチ大会をいたしました。我が臼杵市ではかれこれ半世紀続いている、美術科最大イベントです。専科の先生が居ない小さな学校を含め、臼杵市のすべての中学校で行われています。私は臼杵市立北中学校という学校に勤めていますが、今年度は大分県内で作家活動している甲原安(こうはらやすし)さん(国画会会員)に来校していただき、「絵を描くこと」というテーマで講演・交流会をしていただきました。
内容はスケッチ大会の一週間前に甲原さんの作品をお借りして学校の玄関ホールに「北中ギャラリー」を作り、展示しました。(10号~130号の作品10点)本番までゆっくり作家さんの作品を鑑賞しスケッチ大会の目標を考えます。そして本番当日は1時間目に体育館で甲原さんの講演を聞く全校美術を行いました。その後、各場所(市内7か所)に分かれてクラスごとに作品を1日かけて描きました。甲原さんも午前中描く場所を回り、指導をしてくださいました。(生徒は大喜び!)全部仕上げることは無理なので、授業で約5時間使って仕上げていきます。
甲原さんの講演会はパワーポイントを使って臼杵市内の風景(搬入当日、臼杵市に来て下さり、風景写真を300枚くらい撮影。)の見所や描き方をわかりやすく伝えてくださいました。生徒も感動したようで、特に3年生は最後のスケッチ大会なのでこだわりを持って描いていました。
その後、本当は1週間で作品を甲原さんにお返しするはずでしたが、もっと地域の方に観ていただきたいと現場の要望があり、5月末日まで展示することになりました。展示している間、PTA総会や教育委員会訪問、各種行事があり、たくさんの地域の方々に鑑賞していただきました。
なにはともあれ、この授業をOKしてくれた管理職や現場の先生方、地域の人々に感謝しています。また、おまけもあり10月には3年生全員でワークショップで1日美術、11月には大分県立芸術会館とタイアップしたスクールミュージアムを2年生全員で行う予定です。
北中美術鑑賞授業 「大分県の作家と語ろう」~スケッチ大会に向けて~
★講師 甲原 安さんの講演を聞いて
ぼくは、甲原安さんが来てくれるのを楽しみにしていました。それは学校のホールに飾っていたのを見て、とてもすごいなぁと思いました。それは、ボコボコしていてどうやって塗ったんだろうととても不思議に思いました。そのなかでぼくは町並みを描いてあるやつが印象に残りました。他のもすごいなぁと思いましたが、やっぱりそれが一番でした。また、話している時、とても良いアドバイスをもらい参考になりました。また機会があれば絵の描き方等ゆっくり教えてください。今日は本当にありがとうございました。(1年 男子)
今日は講演をありがとうございます。そして、甲原さんは踏切や駅を描くのが好きで、いろんなところの駅や踏切を描いていて「おもしろいな」と思いました。聞きたいことですが、1枚の絵を描くのに何時間ぐらいかけてしていますか。できれば教えてください。そして、絵を描くのは前の絵が終わってからですか?それとも気まぐれで面白いなと思った時ですか?教えてください。(1年 男子)
今日は僕たちのために美術鑑賞授業を行ってくれてありがとうございました。甲原さんは今、駅の絵を描いていらっしゃるところがとてもすごいと思いました。駅はいろいろな構造になっていて難しいと思いますが、自分が思ったことをすぐにできてすごいです。僕の場合自分の思ったことをうまく絵にできません。だからどうすればよいのかわかりません。今日の鑑賞授業は良い勉強になりました。僕もいつかは甲原さんみたいな絵の描ける人になりたいです。(1年 男子)
前から置いてある、あの大きな絵は迫力がありました。あの絵のような絵をいつかは描いてみたいと思いました。甲原先生の絵は一つ一つが面白くて才能があるとこんなにも上手に描けるのだなと思いました。甲原先生は昔、学校の先生だったと聞いた時、すごいと思いました。しかも、先生を辞めた後、絵で成功したなんてすごく羨ましく思います。また、甲原先生は料理好きということでした。僕も家では料理もするのですがあんなにすごい絵を描きながら料理までできるのはすごいと思います。今日、先生に聞いた話をもとに二王座の絵を描きました。ズームしてみると違うものが見えてくると言っていたのでやってみました。そうしたら違う形の絵が浮かんできました。まだ絵はできていませんが先生が言っていたように、みんな違ってみんないいのでどんな絵があってもいいと思います。(1年 男子)
甲原先生の話を聞いて今日、実際にやってみました。それは色です。空の色など工夫して色を変えてみたりしました。やってみたら今までの絵より一番いいのが出来ました。難しかったところは良い色がなかなか作れなかったことです。これからはいろいろなところの区別をして頑張って仕上げてゆきたいです。 1年 女子
甲原先生は「今書いているときが昼でも自分が夜のほうがいいと思った場合はその通りに描いてもよい。」とお話した時はそうなんだと思いました。私は今書いている通りに描かなくちゃいけないと思っていました。お話を聞いた後試してみたことは、雲はちょっと明るかったけど、少し暗めに塗ったりしてみたら本当に風景が変わったのでやっぱりしてよかったと思いました。
絵を描いてみて良くできたことは絵の塗り方などです。白い部分があったらちょっとだけ黒を入れてみたり、赤より少し濃いめだったら、赤+黒をしてみたりしました。難しかったところは構図です。場所をどこかに決めなければいけないことが一番難しかったです。
これからの仕上げはいっぱい想像して頑張ろうと思います。(1年 女子)
私は絵が苦手です。今まで図工のときはほとんど手抜きで描いていました。しかし、甲原さんの講演を聞いて安さんみたいに描いてみたい!に変わりました。また、今日の講演を聞くまでは、「いやだな~。」という気持ちでした。でも、頑張るという気持ちに変わりました。安さんはわたしの気持ちを変えてくれました。これから安さんの絵に少しでも近づけるように頑張りたいと思います。(1年 女子)
甲原さんの絵は私たちがやったことのない方法で絵を描いていたことに驚きました。わたしは絵を描くことが好きです。上手に描けた時はほめてくれるし、うまくいかなかったときはアドバイスをしてくれる人たちがいるからです。でも私は、賞を佳作しかもらったことがありません。私の欠点はやる気が絵に出てしまうことです。だから、このスケッチ大会で描く絵は真剣に丁寧に描いていきたいと思います。
それに、私は風景画が苦手です。ちゃんと書こうと思ってもうまくいかずに不自然になってしまいます。しかし、今日描いた絵は物をよく見てその通りに描いたおかげでうまくバランスが取れました。今日初めて取り入れたのは立体です。影など本格的に取り入れたのは今日が初めてでした。甲原さんに「やり方をちゃんと知っている。上手にできているね。」と言われたのでうれしかったです。そして、いつか甲原さんの絵のような素敵な風景が描けるようになりたいです。 (1年 女子)
僕はあまり美術が得意ではありません。好きではありません。でも今日の個性を出せばいいとおそわってよかったです。そのおかげで少し励みをもらいました。また、デッサンや色などよくわかりました。色を少し変えただけであんなに雰囲気が変わるのがすごいと思いました。それともう一つ大切なことを学びました。それは「想像」です。絵は写真ではないので自分の想像でいいと言ってくれました。全くその通りだと思います。これからは先生が言ってくれたことを励みに、美術を好きになっていきたいと思います。 (1年 男子)
北中のホールの中に展示されているのを見た時、線路や踏切を描いていたのがとてもすごかったです。その描画で使用している水彩は筆でなく、水彩の色のチューブから出しているという大変な作業をしていることがわかりました。最後に甲原さんが教えてくれたことをもとにして、僕たちは龍源寺三重塔という臼杵の歴史の建物に触れました。甲原さんが講演してくれた中で3つのことを覚えています。
1つ目は自分が何を描きたいかということです。2つ目はなにが心を動かしたかということです。3つ目は絵画はみんな違って良いということです。それに、良い写真や絵画の描き方を教えてくれたので本当にありがたかったです。僕は高台にあるところで、目の前に立っているお寺を描きました。屋根が少し難しかったけど一日かけて描きました。着彩まではいかなかったけど屋根やお寺の形を捉える事が出来たのでよかったです。(2年 男子)
甲原さんの絵を見て眠らずに頑張ったんだろうなと思いました。甲原さんはなぜ絵がそんなに好きなのかまた、描くのが好きなのかぼくは疑問に思いました。そして、お話の後龍源寺に行って甲原さんにアドバイスをもらいました。その通りに行ったらものすごく良い絵ができました。これからは会う暇がないかもしれませんが甲原さんのアドバイス通りに頑張ります。 (2年 男子)
今日の講演では実際に現地で撮った写真や絵を使って視点を変えると面白い発見があることを教えてくれました。自分たちのスケッチ大会のために前日から準備してくれてありがとうございました。
自分は寺の階段の手すりのところを見つけて絵を描きました。自分が一番こだわったのは木目をどう絵で描くかでした。そこで、鉛筆で描き上から柱の色を塗ったら木目がうまく浮き出ました。残りの時間は甲原さんの講演の例を試してみたいです。(2年 男子)
私は絵を描くことは本当に苦手でした。作家さんの作品を見て「私もあんな感じに描きたいな。」と思うだけでうまくは描けませんでした。今回のスケッチ大会も「どうせ下手だろうなぁ。」と思っていました。しかし、甲原さんの講演を聞いて頑張ってみようと思いました。「自分の好きな場所を描く」「自分流で描く」この2つの目標で頑張りました。そして、今年はうまく描くことができました。また、甲原さんの「かわら」の描き方を教えてもらい、「そのかわら面白そうじゃん。」と言われた時はすごく自信になりました。そして、次の色塗りにも力を入れて頑張りたいと思います。
こんな絵の苦手な私が1日で何かを好きになるのは珍しいことなので今日の講演は本当に素晴らしい講演だと思います。これからいろんなことにチャレンジしたいと思いました。(2年 女子)
今日はスケッチ大会なので頑張ろう!!と思いました。そして、体育館に行って誰か知らない人が来ていたので、誰だろうと思いました。そしたらすごい人で甲原安さんでした。先生から絵と技術の話を聞いていましたがそれほどすごいんだなーと思っていました。やっぱり、話や技術を知っているだけで絵を描くことを楽しく工夫したりできるんだなーと思いました。私が描いたのは「鬼がわら」です。すごく難しく、下描きだけで約3時間もかかりました。絵画の大変さがわかりました…。集中しすぎて頭が痛くなりました。でも、頑張って下描きを終わらせました。今日は楽しいスケッチ大会になりました。ありがとうございました。 (2年 女子)
僕は良い体験ができたと強く思っています。なぜかというと甲原安さんの講演のときは絵がこんなにすごいということが分かりました。最初に流している絵「これ誰が描いたんだろう。」と思っていたら甲原さんの絵と聞いた時にはさらにびっくりしました。そして、絵を描く時のコツやどんなところを描いて良いのかなど、いろんなことを教えてもらったし、良い経験にもなりました。また、スケッチについてもいろいろ教えてもらいました。教えてもらったいろんなことを参考にスケッチに取り組みました。どこを描こうかと30分ほど悩んでそこから絵を描き始めました。確かに難しかったけど、何より楽しかったからよかったと思います。友だちと一緒に絵を描いたり、弁当を食べたりしてとても楽しかったです。おかげで途中だったけど良い絵が描けたと思います。
2年 男子
私は甲原さんの講演を聞いて思ったことは、構図や色彩などは講演のおかげでわかりました。福良天満宮についたとき、なかなかピンと来るものがなかったけど、ずっと探していてやっとのことで見つかったのが鳥居のくぐったすぐそこにある手を洗うところです。正面はあまり良くなかったので角度は斜めに描きました。最初は水が入っているところを薄く描いて、水が入っているところの午前の円の半分の形を描きました。そして「洗心」と書いてあったのでそれは「かっこよく」描きました。また、竹のヒシャクと栓も描きました。友だちも工夫された絵になっていました。今日は本当にいろんなことを教えていただき、ありがとうございました。(2年女子)
私は絵を描くのは好きですが「作家になりたい。」と思ったことはなく、ただ描いているだけでした。しかし、今日の講演を聞いて絵にもっと関心を持つことができました。今年は昨年と違い、スクリーンを使っていたので、説明がわかりやすかったです。スケッチ大会では昨年より進むのが早く、色塗りまでいったので良かったです。
月曜日に授業がありますので、続きを頑張りたいです。(2年 女子)
今日は甲原さんの言葉がアドバイスにもなって良かったです。色が違うほうが自分の想像したものになって良いということも知りました。「見方を変えて」これが2年の目標でした。見方だけで絵がかなり変わることがすごいと思いました。2年3組は福良天満宮でした。絵に描きたいところはたくさんあったけど、一番描きたいと思うものが見つかりました。その絵はかなり色を塗って進めることができました。背景をどうするかは迷いましたが、少しぐらい色を変えてもいいと思って変えました。甲原さんは「自分が描きたい、心ひかれる場所を描く」ということを教えてくれました。甲原さんの絵はすごいと思いました。ただ単純に絵がうまいだけではなくて、本当に描きたいところを描いているのですごいと思いました。本物との違いがあってこそ絵がいいと教えてくれました。これらのアドバイスを活かして授業での美術の時間も頑張りたいです。 (2年 男子)
甲原さん今日は美術・芸術についていろいろ教えてくださり、ありがとうございました。講演では知らなかったことがたくさんあり、今日知ることができてとても嬉しかったです。甲原さんの絵も学校のホールや今日の映像で見ましたが、遠近法がとてもすごく奥行き等がすごくて驚きました。あんな風に描きたいなぁと思いました。スライドの中にあった空の写真はとてもきれいで今日描いてみたいと思い、私は月桂寺で空と寺の裏をかきました。甲原さんに教えてもらったように空の近いほうを点々にし、流れるように後でやってみました。影も遠近法がつくようにしてみたら、先生や友達に「さっきより立体的に見える!」と言われました。本当にありがとうございました。(3年 女子)
甲原さんの講演はすごく勉強になりました。学校に展示されていた絵もホールを通る時に「すごいなぁ。」と思っていつも見させてもらいました。駅はすごくリアルで、夕暮れの感じで合わせて描かれていたのでとても感動しました。独特の色遣いがすごかったです。一つ一つに違う変化をつけることでよその場所やものを立体的にリアルにできることも甲原さんの講演を聞いて知ることができました。下描きも見えるところをしっかり描くことを知り、実践できたと思います。甲原さんのようには描けないけど絵を一生懸命描くことの大切さを知りました。色の付け方のアドバイスをこれからの授業に活かしたいと思います。先ず薄い色から始まり、最後に濃い色をつけるという方法を忘れないようにしたいです。絵を描くのは苦手ですが甲原さんのアドバイスをもとに、少しでも自分らしく丁寧に仕上げていきたいと思います。 (3年 女子)
今日は3年間で一番集中したスケッチ大会ができました。講演ではものの縁や影の色を変えるだけで絵が全く違ったように見えるのは不思議でした。実際にスケッチしてみると、階段などどうやって描けばよいかわからなかったけど、いろいろと教えてもらったので、自分が描きたいように描けました。友だちにアドバイスをしているのを聞いているとなるほどと思うことがありました。
今後、教えてもらったことを活かしたいと思います.(3年 女子)
僕は今まで自分が見たそのままの景色を描いていました。甲原安さんの講演を聞いて、見たそのままじゃなくて、変えてもいいんだなと思いました。
甲原さんの線路は写真を見ているような感じでした。車の中から見た横断歩道を歩く人は本当にリアルでした。僕が一番心に残った絵は階段の上から見た夜の景色です。あの絵は昼撮った写真と聞いたときはとても驚きました。昼から夜の絵に変えるのはとても大変だろうなぁと思いました。僕は頭で考えたことを絵にするのが一番苦手であの絵には本当に驚きました。また、夜の空の月がとても美しいなぁと思いました。スケッチ大会のときは甲原さんの講演を思い出しながら描きました。今日は曇りで木の色が暗い色に見えていたけど、明るい色で塗りました。そしたら、木が輝いているように見えるのを描くことができました。
今日の講演を聴いて、僕は今までの絵を描くときの気持ちが馬鹿みたいと思うようになりました。これからは見たままではなく、昼でも夜の絵を描いたり、夏だけど秋みたいに描いたり、自分の描きたい様に描こうと思いました。また、今まではこんなカンジでいいのかなぁと思うと完成にして描くのをやめていたけど、これからは」自分が本当にこれで良し!!と思えるまで描こうと思いました。(3年 男子)
ひとつの建物でも描き方や目の付け所によって絵が変わるものなんだなぁということと、一人ひとりがまったく違う世界があると思ったら、ちょっとすごいなぁと思いました。(3年 女子)
レポーター:山崎 正明