次回学習指導要領改訂の動きへ向けてのアクション
2014年4月13日
いよいよ2014年度がスタートしました。
中学校美術ネットでは、2014年度が美術の授業時間の増減が決まる
次回学習指導要領改訂の動きが活発化する年度であると予測しています。
そして改訂の度に問われ続けているのが「必修教科としての美術科の存在理由」です。
前回の学習指導要領改訂の動きを振り返ってみると,改訂の内容を巡る議論が活発化してきた2005年には、
中山成彬文部科学大臣が子どもたちの学力低下問題について「国語、数学などの主要教科の授業時間をいかに確保するかが課題だ」と述べたことから”主要教科(国語・数学・理科・社会・英語)”という言葉がマスコミでも再び頻繁に扱われるようになってしまい結果として芸術教科等が軽視され、
中央教育審議会教育課程部会の中では「音楽、美術を選択制にしてもよいのではないか。選択で選ばせて倍の時間を行うのはどうか。」(2005年7月)、「技術・家庭、音楽、美術は選択でという意見もある」(2005年9月)という発言も出され美術科は危機的な局面を迎えました。
この時、文部科学省や中央教育審議会教育課程部会などに対して全国造形教育連盟や日本美術教育学会をはじめ、北海道造形教育連盟など地域の研究会からも組織をあげて、必修教科としての図工・美術の授業の意義を示す請願書・意見書を出しました。
また中学校美術ネット代表 山崎正明は、自身のブログ「美術と自然と教育と」や、全国の図工・美術教育関係者500人以上が登録している「ZEN-ZOメーリングリスト」を通じて、全国の教員や保護者の方から資料提供を募り、小冊子「図画工作美術教育の大切さを訴える」と「子どもにとっての貴重な時間」を作成し中央審議会のメンバーなどへ送付しました。
<前回改訂の際に中央審議会へ送付した以下からpdfファイルをダウンロードすることができます!>
「図画工作美術教育の大切さを訴える」
「子どもにとっての貴重な時間」
その後2006年3月31日に開催された中央教育審議会 初等中等教育分科会 教育課程部会(第39回)では、同年3月29日までに募集されていた「審議経過報告」に対する意見募集の概要が、議事録配布資料として公開され、その中に「芸術科目は豊かな情操の育成を担っており、その選択科目化や時数の削減は不適切。」という意見が取り上げられました。
そして学習指導要領改訂の際には、美術科が選択教科になることはありませんでした。
しかし今回の改訂でもまた「必修教科としての美術科の存在理由」は改めて問われることもあると考えます。その際には再度美術教育の価値を伝えるアクションを起こして行きたいと思いますが、前回送付した小冊子「子どもにとって貴重な時間」作成の際には、時間にも限りがあり、ご提供頂いた資料は一部の地域のみの掲載となってしまいました。
※下図は「子どもにとっての貴重な時間」に資料掲載させて頂いた方々の都道府県です。(この図は埼玉県公立中学校教諭の田尾明敏先生にご提供頂きました。)
「子どもにとって貴重な時間 図画工作・美術の時間」へ掲載させて頂いた資料タイトル
・3歳児の想像と造形
・今しか描けない時分の絵
・今を生きている証
・夢がふくらむ時間
・喜びを伝える
・地域の文化に目を向ける
・大切な宝物
・子どものために必要な時間
・鑑賞を通して価値観を広げる
・写実へのあこがれ
・発想力を育む活動
・生活を見つめる中で育まれる共感の感覚
・今を見つめる
・自ら発想し、計画し、やりとげる
・作品に夢や願いをこめる~古代の日本人から学びながら
・無心になってつくる時間
・互いの存在を認める
・生徒たちの心和む世界
・美術とコミュニケーション
・人間に備わる原初的創作活動の大切さ
・鑑賞で磨く子どもの感性
・ 美術で身につけた力が生活を豊かにし、文化国家の担い手ともなる。
・ また発信と受信の能力を高めることはグローバル社会の中でも大切な課題
次回アクションを起こす際には、より多くのつながりを持って、
必修教科としての確固とした存在意義を示すアクションを起こしていきたいと思います。
これからもどうぞ中学校美術ネットをよろしくお願い致します。
レポーター:加藤浩司