「中学校美術Q&Ain岡山」発表の様子
2013年2月10日
「中学校美術Q&Ain岡山」のレポート
中学校美術Q&Ain岡山での発表の様子を一部公開させていただきます。
今回、動画の公開にご協力頂きました発表は、以下の2つの発表となります。
大橋 功 先生(岡山大学大学院教育学研究科准教授)
「子どもの作品の読み取りー子ども自らが主題を生み出す過程をみながらー」
チーム岡山(岡山県公立小中学校教諭)
前半:発表者 辻 政宏 先生(岡山市立東山中学校教諭)
「岡山県における小中連携へ向けた取り組み」
後半:発表者 井口 敬 先生(倉敷市立庄中学校教諭)
「アート・トラベリング・トランクの開発と実践使用について」
以下、中学校美術ネット運営メンバーの加藤が、発表内容の概要をご紹介させて頂きます。
「子どもの作品の読み取りー子ども自らが主題を生み出す過程をみ ながらー」
大橋先生の発表では、自分の良さや役割を発揮でき、そこから認め合い、学び合える「みんな違ってみんな良い」を本当に実現できる美術の授業。そして「子どもの芯に届く」美術の授業を目指して行きたいというお話から始まり、そのためには、児童・生徒達の発達段階に合わせて子どもたちの想いを引き出すということが大切であるということを確認して頂きました。
その後は、子どもたちの想いを引き出しているようで、実は誘導的な側面を持ってしまっている授業展開例を解説して頂き、次に一見うさぎが椅子に腰をかけているように見える幼児の絵などを見ながら、そこにあるたくさんの子どもの想いや発見についての解説して頂き、「作品に対して子どもの想いがある」ということの大切さについてお話を頂きました。
そしてこの 「想い」を引き出す授業を作って行く上で大切なことは、現状の児童観・生徒観に根付いた「授業構成力」であるというお話で締めくくって頂きました。
「岡山県における小中連携へ向けた取り組み」
辻先生からは、小中連携グループへの取り組みと、活動内容についての実践報告をお話頂きました。
辻先生は、附属中学校で実践研究をされていた経験を背景に、個人(一つの研究校だけ)ではなく他の学校の仲間と研究を共有できれば、より良い授業の発展に繋がるではないかという想いから、精力的に様々なグループや研修企画を立ち上げた、お話を頂きました。
特に小中連携グループの活動のお話の中では、小学校・中学校の間での教育現場の環境や意識の違いを整理された上で、「専門的な内容を子どもに合わせて上から教えるのではなく、下から育って来る子どもの成長に繋がっている授業をしていくためにも、中学校は小学校に学ばなければならない」という熱心に学ばれる姿勢で、小学校との連携を進められていたことが大変印象に残りました。
またその後は、ネットを利用した授業改善を進めて行く中で、他者評価がなく一方的な情報発信になりがちなホームページから、双方向性に交流が生まれ易いブログやメーリングリストを活用するようになったという報告を頂き、最後には「恊働の楽しさ」についてのお話を頂きました。
この岡山の先生方の学び合いの姿勢そのものが、子どもたちのモデルにもなっていることを強く感じました。
「アート・トラベリング・トランクの開発と実践使用について」
井口先生からは現在岡山県立美術館と連携して取り組んでいる「アート・トラベリング・トランク」についてのお話を頂きました。
「アート・トラベリング・トランク」とは、大きな箱(トランク)詰められた地域の伝統工芸品(備前焼、水墨画など)の鑑賞教材を、連携校の教諭(ハブ教諭)の間で共有して使いつつ、さらに定期的に授業実践後の感想を共有することで題材の改善をしていくという取り組みです。
地域で作られた鑑賞教材を使っていることで、実際に作家さんをお招きしての授業をしたり、地域の特性を生かした授業の展開報告もありました。
美術館と連携し、お互いの役割・専門性を活かした運営をしていくことで、質の高い本物を扱った授業が身近に行えている点に大変魅力を感じました。
「中学校美術Q&Ain岡山」のレポート
レポーター:加藤浩司