図工美術の研修会の報告
2014年2月26日
「中学校美術Q&A in 神奈川」で、この「中学校美術ネット」へ情報をお寄せいただく事を強くお願いしました。さっそく福井の牧井さんから情報を提供いただきました。研修会を終えて、そのアンケートの集約したものです。そこには先生方の様々な声が掲載されています。
なお情報提供はこの中学校美術ネットを通してでもいいですし、山崎、梶岡、加藤へ直接でもかまいません。ここの更新頻度を高めたいです。
以下、牧井さんによるまとめです。
参加者の感想
1/18「ヤング・アート・キャンプ美術」
1 講演会「いつでも、どこでも、どこにも美術!―連携を意識して始まるアートな取組み―」
●鈴木先生の取り組みは、大変参考になり、実践してみたい内容ばかりで楽しかったです。 卒業制作のような壁画は、「今からでは遅いな~」「もっと早くお会いできていればな~」と思いました。 全員の子どもから作品について聞くことは難しいから「自分の作品を説明するビデオを撮る」という工夫に は同感で、最後にビデオで美術の時間を振り返る目的で撮影出来れば、生徒も自然に受け入れてくれるので はないかと思いました。
●感動しました!こんなにダイナミックに活動されている先生がいらっしゃるなんてかっこいいです。 活動の画像を見せていただいて、中学生がいきいきと輝いているのがうらやましくて、自分も何かしたい! という強い気持ちが起こりました。そして、美術ってやっぱりステキだなと感じました。以前、奥村高明先 生のお話を伺ったときに、電車の中の人に向けてメッセージを窓にデザインした事例をお聞きして、そんな ステキなことをしている子どもたちや教師がいるんだなと心に深く響いたのですが、まさか、それが鈴木先 生とは!スライドを観ながら、ドキッと心臓が音を立てました。ダイナミックなことはまだまだできそうに ないわたしですが、美術で学校の中をステキに変えていくというのをこっそりと少しずつできることからや ってみようと思います。
●鈴木先生のお話を拝聴していて、思い浮かんだキーワードは、「パワフル」「ダイナミック」もそうですが、 一番は「遊び心」です。美術は人の心も世界も明るくしますね。
●鈴木先生の、地域や学校全体に開かれた美術の取り組み、すごいと思いました。頭足人の話では、忘れかけ ていた表現の根本的な部分(幼児期における造形表現は生そのものである、他者の目にとらわれず描きたい ものを描く)について、自分にもそういった時代があったのだとはっとさせられました。また、共同・グル ープで一つの作品を作る、描くってよいなあと思いました。「作品を前にして考える子どもの一枚の写真、 この部分が一番大切なんだ」という先生の言葉が、一番印象に残りました。
●「ワークショップ」について、美術部の子に話したら,すぐやりたい~と返ってきました。体育館で似たよ うなことに取り組んでいたのでとても楽しみです。得意な子もそうでない子も取り組みやすく,難しくはな いけど,みんなで協力しないとできない題材なのが素晴らしいです。まさしくアートの力を感じてもらいや すい題材でもあります。美術の授業だけが美術をする時間でない,という環境を作り上げていくことの大切 さ,美術が身の回りにあることが普通な状況を作り上げていくことの大切さを感じました。わたしのやる気 が喚起されたお話しでした。卒業式に向けての共同制作が感動的でした。卒業式に向けての制作に取り組み たいと思う生徒が多数いる,どんな絵が飾られるのか楽しみにしている保護者や教師が多数いる,そんな取 り組みをわたしもできたら…と思いました。
●校内で美術教育の存在感を出していく工夫がすばらしい。音楽科の合唱コンクールのような取り組みができ ないものかとよく考えていたが、先生方が合唱コンクールを大切に取り組むのは、集団として高め合う姿や 学び、達成感を期待しているからで、そうしたねらいも含めて学校全体を巻き込んで作品作りをするアイデ アをいただいた気がした。そのダイナミックさに、先生方も一歩踏み出す勇気をもらえたのではないかなと
思う。欲をいえば、あと30分程度伸びても、他の実践も聞きたかった。
●鈴木先生の取組みを拝聴し、美術を通して人と人がつながること、大作を協力してつくることでの感動を知 りました。生まれた時から、アートの世界を始まっているのかもしれないと思いました。(幼)
●授業になると教え込んでしまったり、教師のやりたいイメージだけの題材になって、子どもからかけ離れて いたり、言える子だけが言う鑑賞活動になっていたり、普段の授業改善が美術科では課題。 鈴木先生が、イベント的なものと同時に、1時間1時間の授業で子どもたちの主体性を大事にして、題材を 組み授業づくりをしていらっしゃることももっと伝わるとよかった。中学校教員時代の年間カリキュラムと か中学校3年間で育てようとしていたものが見える資料もあるとうれしいと思った。
●中学校の生徒たちの笑顔がとても可愛く、美しかったことが印象に残っています。みんなで考え話し合った もの、みんなで過ごした時間、みんなで作り上げた作品が、彼らにとってどれだけの価値があるのかを考え ると、あの笑顔の意味が理解できます。生徒達は本当によい人(鈴木先生)にめぐり合えたなあ、よい学校 生活を過ごしたなあと、うらやましく思います。
目の前の生徒たちにとって、今大切なものは何か、今必要としているものは何かを先生は考えておられた ようにおもいました。教科、受験などでたいへんな今こそ、美術は大きな役割を果たしていたのではないで しょうか。どうすればおもしろいか、どうすれば楽しくなるか、アイディア次第。一番楽しんでいたのは鈴 木先生かもしれませんね。準備や後始末がたいへんでも、生徒たちの笑顔に出会えることを知っていたので しょう。
●実際に中学校で教鞭を執られていた先生からのお話ということで,現場を分かっておられる方からの講演会 がありがたかったです。人間的な魅力もすばらしかったです。美術を学校の様々な部分に活かしていこうと いう考え方をお聞きし,とても共感できました。授業を大切にすることはもちろんのこと,教科の枠や教室 を飛び出して,美術のよさをどんどん広げられるようにアイデア・戦略を練っていきたいと感じました。こ れは楽しいことです。学校での授業に限定されず、精力的な取り組みをされてきたことがすばらしい。
●アートって、本当に素晴らしい。様々な取り組みを紹介いただき、忘れかけていた「いつでも、どこでも、 どこにも」を思い出す機会となりました。早速、水玉でアートを初めているところです。先生のようにはで きませんが、一人一人の幼児に楽しさや感動を味わえるような経験や体験をたくさんさせてあげたいと思い ました。(幼)
●話が楽しく、聞きやすい講演でした。共同でつくりあげたパネルもとても素敵で、この活動に参加できた生 徒が涙していたという気持ちがよくわかりました。他の教科では、いっしょに取り組む活動はできたとして も、ここまで心が動く題材を見つけることは難しいだろうなと思いました。(幼)
●海外に渡航すると、その国の文化や色が街中にあふれています。そして、そこに存在しているのが当たり前 です。鈴木先生は、そういう美術の存在を生徒に教えてこられたのかなと感じました。それを教科という枠 組みがある中で進められている行動力と熱い想いを感じました。(幼)
●初めにDVDで見せてくださった卒業式のパネル制作の活動がとても素敵だなあと思いました。それも、毎 年のようにやってこられたというのが本当にすごいと思いました。私も前任校、前々任校で、卒業式に飾る
巨大屏風を作らせたことを思い出し、胸があつくなりました。また、「いつでも、どこでも、どこにも美術」 という考え方も大賛成で、今私が取り組んでいる「松中美術館化計画」に通じるものがあるなと思いました。 先生のように、保護者や地域の方との連携についても今後取り組めるといいなと思いました。生徒たちが「自 分たちの美術での活動が、生活を、社会を豊かにそして楽しくしている」と実感できるようにされている鈴 木先生を本当に尊敬します。ありがとうございました。
●学校行事や総合的な学習の時間など、地域へ美術科をアピールするアイデアは是非、活用したいと思いまし た。この点では、福井市では音楽科に負けていると最近感じています。福井市では、連合音楽会にどの学校 もたいへんな力を注いでおり、行事などで合唱に取り組む機会が多いのが現状です。この美術展も、連合音 楽会と同じくらいの扱いになるといいのにと思います。その一歩として、私なりにできるアピールを続けて いきたいと思いました。
●「美術は創造的な活動そのもの」という言葉に、鈴木先生の造形に対する熱い思いを感じました。ペットボ トルで色彩プロジェクトやのぞき窓プロジェクトなど、いつでもどこでも遊び心を持って、はっとするよう な心豊かな生活を作り出していらっしゃるところが、おもしろいと思いました。また、その取り組みを、地 域、保護者、職員仲間へプレゼンで紹介していらっしゃるので、すばらしいと思いました。美術はまさしく 表現活動の一つで、「エネルギーの爆発」という言葉を思い出しながら拝聴させていただきました。美術作 品を鑑賞したり、自分で作ったりして、私たちの生活は心豊かになっているということを感じました。あり がとうございました。
●自分の作品を自分で説明するビデオ作成についてですが、普段は授業や展覧会の記録用としてしか活用して いないビデオ(動画)ですが、それを子どもがつくり、子どもが見ることでさらに刺激を受けている授業実 践を知り、学ばせていただきました。
●私は採用3年目の中学校教員ですが、鈴木先生の講演を聞き、改めて美術教育の可能性を感じると共に、先 生に受け持ってもらえた生徒は本当に幸せだなと感じました。美術という教科が、学校全体を巻き込んだプ ロジェクトとして大きく展開していく実践は、どれも胸躍るものでした。こんな授業実践の一部でも実践で きたらと思い、早速ですが、本校でも3年生でシルエット・プロジェクトを行いたいと考えております。 反面、美術という教科の存続の危機の中、先生のような実践が全国の学校でできていれば、現在のような状 況にならなかったのではないかと感じました。当然、先生が33年間という長い年月をかけて周りの教員の 理解を得、成し得た境地ではあると思うのです。しかし、今回のような研修を受けなければ、先生方のすば らしい実践を知る機会もなく、自分の殻に閉じこもってしまうのが、美術教員の現状ではないでしょうか。 求めなければ、よりよい教育に結びつかないのは当然ですが、すばらしい実践を聞くたび、心のどこかでな ぜこれをスタンダードな指導として確立しないのか疑問に思うことがあります。地域に合わせた特性を生か した授業や、無限の可能性があるのが美術教育のすばらしい点です。しかし、講師や副免の教員が増える中、 ますますセット教材で指導のない授業が増えていくのではないでしょうか。知らないことを恥ずかしく思う と同時に、教科としての危うさも同時に感じることがあります。 本日の講演を聞き、改めて明日からよりよい指導を目指してがんばろうという気持ちを持ちました。これか らも多くの研修を通じて得られたことを自分の中でしっかりと吸収し、成長していきたいです。ありがとう ございました。
2 パネルディスカッション「福井型18年教育を美術で見る」
●美術でがんばれる地域は他のこともがんばれる子どもが育つと思います。図工美術の学びが成長していくこ とを,保護者や教師や子ども自身が喜べるようになっていってほしいです。各地区で意識して幼小中合同の 展覧会を開いていくといいなと思いました。 幼稚園であんなに素晴らしい活動をしていることが知れてとてもよかった。小さい時に力を入れてやってい ることが,大きくなったらおろそかになっていいはずがない。小さい時に魅力的なことをやっているし,自 分で材料や道具を選び取ることをやっている。その力を眠らせているのは小中学校の授業かもしれないと思 い,反省しました。
●動き出した取り組みがみんなで一丸となって進められていくといいなと思いました。 教育研究所のネットでの取り組みを伝えるのがメインだったのかな?と思ってみていました。 それならば実際に使った前例で、みたかったのですが、小中高連携が、今のところバラバラだという 内容で終わったような気がします。美術は学校ごとにやることが違うので、小中高の大まかな年間計画 を教育研究所が示して、「こんな教材がおすすめ」という内容が載っていると、私たちも小学校、高校を 意識した計画が立てやすいと思います。例えば小学校では「白黒の木版画」を必ずやっているのを知ってい るので、中学校で「多色刷版画」をやっていますが、作品は小さくても経験として全中学校が必ず通るルー トがあると、版画についての工夫された指導案、前例ができ、共有して、さらに美術のよい授業につながっ ていくのではないかと思います。スパッタリングは必ず中学校でやるとか、小学校でデカルコマニーはやる とか・・・。そして、高校では「シルクスクリーン」をする・・と伝えることができると「高校でも美術を やりたい」と思う生徒が増えるのではないかな?と、聞いていて勝手に思っていました。
●18 年教育と言っても連携をとる難しさは様々。国語や算数の教科よりも、美術や音楽の芸術教科において は共通する部分もあり理解しあえると思いました。まさに幼児期が土台であると感じました。(幼)
●各校種の状況をお聞きできたのが大変よかったです。特に幼稚園の先生や高校の先生の具体的な実践につい て伺えたのが勉強になりました。記録をとらせていただいていて、まだまとめていないので(すみません) 内容についてはきちんと記録をまとめていくともっと気づきがあるかなと思います。(すみません。とにか く必死で書くことに集中してしまっていましたので・・・)
心に響いたのは、最後の方で、牧井先生が各校種の先生方に「楽しいと思えること」を聞かれたのがよか ったです。どのお話の後ろにも生き生きと造形活動に取り組む子の姿と、それをまたいきいきと支える先生 方の姿が見えて、明日からまたがんばろう!工夫していこう!という気持ちがあふれてきました。滅多に無 い機会。いろいろな先生方とグループでお話しするような時間もあるといいなとつくづく感じました。
●幼、小、中、高の取り組みや現状を通して聞くことができよかったです。特に、幼、高は勤務経験がなかっ たのでその校種の取り組みを聞くことができ大変参考になりました。中学校の南越地区の取り組みでは、地 域による取り組みの違いについて知ることができよかったです。特に、美術の時数が減らされていく現状の 中で、クリエイティブな仕事につく人が増加しているという話が印象に残り、そこに美術教育の必要性を感 じました。
●造形に対する思いが、学校と幼稚園では温度差があるなあと感じました。過去の自分の美術の時間はどうだ ったのか。はっきり言って苦手でした。自己表現というより、上手に作らなくては・・・という思いが強か
ったからです。表現ってなんだろうと常に思っていました。でも、幼稚園の子どもたちと見ると、楽しく表 現活動をしています。そこには、友だちがいてお喋りしながら描いたり作ったりしています。協同して何か を作り上げるときの楽しさは一段と大きく、次はどうしようか、こうするといいんじゃないかと興奮してい ます。『友だち』と『作ること』は、子どもたちにとって切り離せないといっても過言ではありません。そ れらは、全て、遊びの中から生まれてきます。また、行事も密接に関わっています。制作して食べて、楽し く過ごす。
小学校、中学校の様子や現状がよくわかりました。先生たちの多忙さも察します。いろいろな生の話が聞 けてよかったです。私たち幼稚園も担任をしながら、たくさんの仕事をしています。表現という時間を楽し く過ごさせるためには、何をしたらよいのかをいつも考えています。
会場の先生方からも意見が聞けるとよかったかもしれません。時間の関係で無理なことはわかるのですが、 せっかくの集まりなので・・・。内容が盛りだくさんだからですね。
●とにかく,幼稚園から高校までの図工美術の先生方が集まったことがすばらしいと感じました。新しいこと に取り組んでいくことは,ワクワクしますね。うちの町にはない,幼稚園のお話が新鮮でした。幼稚園児・ 小学生(低学年)では,図工・美術は生活と密接に関連しているものだということがよく分かりました。対 して,中学校では,美術(社会的に認識されている美術を含めて)というものをどう子ども達に理解させ, 取り組みを行い,活動させていくかに苦労しています。本来,どの年齢の子ども達の中にも創造力があるも のだと思いますので,中学校でも造形遊び的な内容も大切にしていく必要があると感じました。自分自身も この部分の研究が足りないと感じています。
●地元の小中の図工・美術主任会では,研修というよりも連絡会になってしまっています。その大きな原因は, やはり専門がほとんどいない,図工の授業を担当している先生が図工主任になっていない,図工以外の教科 指導が忙しいなどであると思っています。今後はできる範囲で小中が連携して取り組めることを具体的に考 えていきたいと思っています。連携というともっぱら小中の連携を考えてしまいますが,今後は高校とどう つながるかを考える必要もあると思います。自分自身が高校の授業を見たことがありませんので,そのよう な機会が得られるとありがたいと思っています。
●幼稚園児の活動では創造的な部分が非常に大きな割合を占めている、ということが、造形教育の必要性を語 るのに重要なヒントになるような気がしました。
●それぞれの立場での課題が見え、また現状や取り組みなども知ることができました。連携はとてもたいせつ であることも理解できました。本園は、パネラーもならせていただき、「造形」について考えるよい機会を いただきました。これから、幼児だけでなく、地域や保護者にもアート(造形表現)のよさ(学び)が伝わ るように工夫していきたいと思います。(幼)
●幼・小・中・高の現場での様子が詳しく説明され、わかりやすかったです。授業の時間数や内容、子どもの 姿がよくわかりました。幼稚園での遊びや保育がここへつながっていくんだと、期待を込めて見ていた部分 も多くありました。あらためて。18年教育を踏まえて、幼児期に基盤となるような活動を取り入れていき たいと思いました。(幼)
●幼児の造形教育から、小・中学校の図工・美術教育に形態が変化していくけれども、三つ子の魂百までと言 われるように、幼児の心にその楽しさを潜在的に残してあげたいと思いました。18年教育の礎となるよう
な造形活動に取り組みたいと思いました。
●小学校の現状を知り、やはり専科の先生が必要だと強く感じました。小学校の先生で、美術図工を専門とし ない先生に是非知ってもらいたい内容だったと思います。
●幼稚園の自由遊びや一斉活動などの主な活動が、幼稚園では当たり前と感じていましたが、小学校や「中学 校以上の先生方には知っていただいてなかったことに驚きました。就学時の連携だけでは、伝えきれないこ ともあるだろうなと感じました。(幼)
●これからの美術教育について、考えさせられる講演会、パネルディスカッションでした。様々な校種のそれ ぞれの立場の意見が聞けたことが、これから美術教育に携わっていく上で糧になったように思います。この ような講演会や実践について学ぶ機会があり心強いです。ありがとうございました。
●それぞれの校種で様々に造形教育に取り組んでおられる様子をうかがうことができ、とても参考になりまし た。パネルディスカッションでも先生方の図工・美術に対する情熱を感じることができました。高校のデザ イン科では、美術について深く専門的に学べることを知り、驚きました。おもしろそうと思いました。表現 するテーマ・表現方法によっておもしろい作品ができることが分かり、とても興味がありました。福井県の 生徒や学生は、選択教科でも美術を専攻する人が多く、とても感性豊かに表現することを楽しんでいること が分かりました。野向小学校でも子どもたちは図工が大好きなので、その気持ちを大切にして、いろいろな 表現のしかたを学ばせたり、自分の思いを自由に表現させたりしていきたいと思いました。
●幼稚園教育から低学年の研究を大学院生のときにしていたので、懐かしく思うと同時に改めて連携の大切さ を強く感じました。また、高校生の授業実践についての話も非常に新鮮で、具体的な指導内容面で得られる ことが多くありました。中高の連携について具体的に何かできるとよいと感じました。 さて、本校についての現状は、小中における具体的な児童・生徒間の連携が取れていません。しかし、今日 のディスカッションでもあったように、小学校の図画工作と中学校の美術では大きなギャップがあります。 日頃の生徒の様子から、考えることへの苦手意識や面倒くささ、自分を表現することへの自信のなさを感じ ています。発達段階を見れば、ごく自然なことかも知れませんが、少なくとも表現において、考え自分を見 つめなおしたり、多様な価値を認めたりという本質は小学校のときから変わらないものだと思います。ほと んどの小学校教員が美術の免許を持っていない現状の中、中学校の側から何かしらのアクションを起こして いくことが必要ではないかと強く感じました。
●わたしたちが生きていくために必要な教科です。生活に不可欠な色やかたちについて学習する教科。自分の 目で見て考えて自分の手で表現することを学ぶ教科。美術以外のどの教科ともつながりがある教科。国語で 学んだことも社会で学んだことも数学で学んだことも…全て美術で生かすことができます。
●人は、身の回りにある衣類や道具など、それぞれの気に入った物を選んで買って使っている、それは美的感 覚によるものであり、そのものを作り出すのは人間です。頭で想像して手に伝え、描いたり作ったりすると いう授業での経験、はこれからも実生活で工夫したり、ものを生み出す社会で必要不可欠です。それには道 具を使った経験がたくさん必要ですが、美術の時間が減り、残念ながらボンドも使えないような中学生、ど
3 美術(表現、図工)は本当に大切なの?と質問されたら、あなたはどう説明しますか?
ろどろのものを触れない生徒が増えてきています。頭に浮かんだアイディアを、時間内に形にする美術の時 間は、社会に出てからも身近に必要なものです。戦後、日本が物作りの経験を生かして発展し、今に至って いるのに、美術の時間が減りつつあるのは、大変心配です。
●もちろん、「大事!」と伝えます。彫刻家の故佐藤忠良さんは科学と芸術の違いを例にして仰いました。 科学技術がわたしたちの日常生活の環境を変えていきます。一方、私達の生活には、好きだとか嫌いだとか、 美しいとか、醜いとか、ものに対して感じる心があります。芸術はこうした心が生み出したもので、この芸 術は科学技術と違って、環境を変えることはできないけれども、その環境に対する心を変えることができま す。誌や絵に(わたしは自然も入れたいです)感動した心は、環境にふりまわされるのではなく、自主的に 環境に対面できるようになるのです。人間が生きるためには知ることが大切です。同じように感じる心が大 切です。「わたしは、みなさんの一人一人に、ほんとうの喜び、悲しみ、怒りがどんなものかがわかる人間 になってもらいたいのです。美術を真剣に学んでください。真剣に学ばないと、感ずる心は育たないので す。」・・・と、こんなことを、自分の言葉で説得力をもって語れるような人になりたいものです。修行します。
●絶対、必要だと思います。現に、今の若者達はアートを楽しんでいるし、それを仕事としてがんばっている 人が大勢です。また、自己表現をする場や時間は、学校生活の中で大切です。受験や教科に追われる毎日で は、人間として大切なものが失われてしまいます。描くことは楽しい、作ることは楽しいという感覚を持ち 続けたいです。高齢になると、趣味を生かした人生を送る人が多くいます。描く、作る、歌う、身体を動か す、どれも表現活動です。人間として生きるために、美術は本当に、本当に大切です。
●美術は,人生を豊かにするものだと生徒に話しています。身の周りのものやことの美しさに気づく,気づけ ることが人生を豊かにすると話しています。また,ものやことを作り出すことは,人生の中で必ず役に立つ, 例えば仕事に就いて計画的にものごとを進めていくときに先を見通す力や,失敗したときに振り返って見直 せる力をつけることができます。将来,美術を生かした進路を選んだり,職業に就いたりする時には,もち ろんとても大切だという風に話しています。
●大切です。美術は、「人間が人間として生きていくために必要なことを学べる唯一の教科」だからです。そ して、「これからの社会において大切になってくること=個性や創造力や工夫する力などをつける唯一な教 科」だからです。同じテーマ、同じ材料、道具を使っても、できる作品は一人ひとり違うのが、美術のおも しろさであり、美術の魅力であり、「価値」であると思います。(他教科にはない)
●豊かに人生を生きていくために必要である。
デジカメやスマートフォン、ICT 機器の普及によってだれでも簡単な方法で表現することができ、それを他 者と簡単に共有できる時代になった。だからこそ、美的な感性を身につけることは必要である。また、そん な時代であるからこそ、様々な素材に直に触れ、自分の手で創り出す美術の体験は大切だと思います。
●大切だと思います。美術作品を作ったり鑑賞したりすることによって、堅くなった心を開き、頭を活性化さ せることができると思うからです。美術のおかげで心豊かに生活できると思うからです。美術は、頭を活性 化させ、心を豊かにすると思うからです。
●美術はいろんな場面で生かされていると思います。受験に必要かどうかということではなく、人格形成や協 調性を養う面においても絶対に欠かさない教科だと思う。美術が得意で、その力が社会の仕事に出て発揮さ
れる場合も多く報告されている。
●説明となると、大切だという視点に立たなければいけないので書きにくいです。なので、今の思いを正直に 書きます。当然自分は、図工や美術が好きで、生涯続けて生きたいという立場の人間ですから、本当に大切 だと心から思います。しかし、同時に、不平等感も感じています。教科として存在しているのにも関わらず、 指導内容が学校ごとにあまりにも違います。専門性の高い教科であるにも関わらず、現状では、講師や副免 許の先生方も増え、セット教材を使えば誰にでもできる教科になりつつあります。でも、本当の美術教育は 誰にでも指導ができる教科ではないと考えます。 美術教育が大切であるとする上で、私が考える1番の本質は、「誰もが自分を認めてもらえる場」であると いうことです。それは、教師が生徒とともに創りだす空間であり、理論的に大切であると言えるものではな く、自然と居心地のよい空間だからこそ大切なのだと思います。教師が生徒一人ひとりの良さを見抜くには、 専門的な知識も、感性も、何より素直に生徒が生み出す作品に感動できる心が必要だと感じています。これ ができて初めて美術の指導ができるのではないでしょうか。(私自身、まだまだできていません) 今まさに、美術教育は変換期を迎えています。一部の教師がどれだけその大切さを訴えても、理解してもら えない厳しい現実があります。現状維持の考え方ではなく、今一度、本質を見つめなおした上で、時代が必 要としている新しい美術教育のあり方を模索していく必要があると思います。(全く答えになっていない上 に、曖昧な表現ばかりで申し訳ありません。)
●これは昨年度末、本校2年生(高校)の美術選択者全員に採ったアンケートの結果です。小学校から高校ま での11年間の造形教育を修了した時点での、彼らの芸術に対する印象が表れているといえます。
この結果から、なんらかの理由で芸術を重要だと思っている生徒が大多数であるといえます。
中でも、「自己表現力の充実、豊かな人格形成のために重要である」と感じている生徒が非常に多いこ とがわかります。生徒自身がこのように感じていることは、芸術の存在の重要性を示す大きな理由になり、 とてもうれしいことです。 また、ストレスを抱える生活の中で「リフレッシュのために重要である」という回答が半数に上ることも 見逃せません。 少なくとも、現在の高校生にとって、現在の生活または将来のためにとても重要であると、彼ら自身が思 っていると、まず私は返答します。そして、人間文明の発展には「自らを表現し新しいものをクリエイト しようとする力」、文化的な生活には「美しさを感じ自らを癒やす力」が必要だと答えます。それにはア ートやデザインの教育が必要不可欠だと。
4 担当の牧井へご要望、ご感想をお願いします。
●いつも、わたしたち現場の教員たちのためになること(ひいては、子どもたちのためですね)を考えてくだ さってパワフルに行動してくださること、心から感謝いたします。わたしなんてとくに、ひとりぼっちのよ うな気持ちで中学校に来て始めた美術でしたが、今は心強い気持ちでいます。ありがとうございます。これ からもどうぞよろしくお願いいたします。
●ヤング・アート・キャンプのご案内をいただき、参加させていただきました事、とても有意義な時間だった と感謝しております。私的には、数年前の、教員免許更新の時と同じく、小・中・・・・ 今回は、高までの活動などを垣間見る良い機会になりました。
●幼稚園は、5領域に分かれていますが、考えるに、全領域に作る事「造形」は含まれております。 設定保育・自由遊び、すべてが造形に繋がっております。例えば、環境に自然が含まれていますが、木の葉 を集めて造形、海辺で砂遊び、園庭で泥遊び。言葉などは、紙芝居・絵本製作、クレヨン・絵の具を使う。 表現などは、楽器作り、お面・衣装作り・・・・すべてに関連があります。今回、ご縁をいただき、参加さ せていただいて、職員一同喜んでおります。牧井先生のお顔も久しぶりに見せていただいた職員もおり造形 の研究会の事を話しておりました。春江幼稚園のパネラーだった2人の教諭もよい経験をさせていただいた と思います。鈴木先生のパワーもすごいと思いましたが、牧井先生もご多忙の中細かな所までご配慮いただ き有難うございました。今後ともよろしくお願いします。(幼)
●すぐ役立研修もよいですが、本当に自分の感性を揺さぶるような、実になる研修を望みます。今回は、正に それだったと思います。牧井先生の美術に対する熱意が感じられました。また、お誘いください。ありがと うございました。
●いつも本当にありがとうございます。牧井先生のおかげで,みんながつながることができてきました。県造 形教育研究会のメンバーで飲むのもいいかもですね。これからもよろしくお願いします。
●今回のシンポジウムはとてもよい取り組みでした。今後もこのような異校種が集う機会があるとうれしいで す。ありがとうございます。このこととはずれますが、前にお話ししました内容、公共機関の CM づくりを していますが、観光営業部のお立場で、タイアップした取り組みができないか、ということが一つあります。
●今後も様々な研修や講演会を期待しています。休日開催の方が、私は参加しやすかったと思います。こうし た自主研修がこれから職員には大切であると思います。(幼)
●いつもすばらしい研修の機会をありがとうございます。右も左もわからない状態から、美術教師として3年 間を過ごしてきましたが、こうした研修の機会を通じて、たくさんのアイデアや考え方に触れられること、 そして多くの先生方との交流が、明日への自分の活力になっています。まだまだ未熟でわからないこともた くさんあり、自分なりに思うことはあっても考えがまとまりませんが、精一杯、今向き合っている生徒を大 切にして、日々を過ごしていきたいです。今後ともどうぞよろしくお願い致します。
レポーター:山崎 正明